青空文庫

「四月号の創作三つ」の感想

四月号の創作三つ

しがつごうのそうさくみっつ

初出:「新青年 第七巻第六号」1926(大正15)年5月号

書き出し

「火星の運河」——江戸川乱歩作。剣術使いがひとりで剣をふり回したり、絵かきが目的なしに線をひいたりするたぐいの、試筆ともいうべきもので、作者自身の「お詫び」言葉のとおりこれはむろん探偵小説ではない。ただ枕の所に大形の天文学書が開いてあって、そこに火星の想像図が描かれていたところなどに探偵小説の型が痕跡をとどめている。サイコアナリシスの実例にはふさわしいものである。「安死術」「秘密の相似」——小酒井

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