「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から
「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲのしゅき」から
初出:マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記「四季」1934(昭和9)年10月号、二つの断片(「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から)「四季」1934(昭和9)年12月号、「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から「四季」1934(昭和9)年12月号、マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記(Ⅲ)「四季」1935(昭和10)年1月号
リルケライネル・マリア約30分
書き出し
九月十一日、トゥリエ街にて一體、此處へは人々は生きるためにやつて來るのだらうか?寧ろ、此處は死場所なのだと思つた方がよくはないのか知らん?私はいま其處から追ひ出されてきた。私はいくつも病院を見た。私は一人の男がよろめき、卒倒するのを見た。人々は彼のまはりに集り、私にその餘のものを見ないやうにさせてくれた。私は姙娠してゐる女を見た。彼女は高い、暑い煉瓦塀にそうて重苦しさうに歩いてゐた。まだそれが其處…
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