青空文庫

「ジャム、君の家は」の感想

ジャム、君の家は

ジャム、きみのいえは

辰雄3

書き出し

「マルテの手記」の一節に、巴里の陋巷で苦惱に充ちた生活をしてゐる孤獨なマルテが、或日圖書館で讀んだ一人の田園詩人——山のなかの靜かな古い家で、花や小鳥や書物などを相手にして暮らしてゐられるその幸福な詩人のことをひそかに羨望するところがある。その一節は讀者に忘れがたい印象を殘すが、その田園詩人はフランシス・ジャムだと云ふことになつてゐる。この頃ジャムの囘想記をひもといてゐたら、第三卷のはじめのところ

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