青空文庫

「翻訳の生理・心理」の感想

翻訳の生理・心理

ほんやくのせいり・しんり

初出:「帝国大学新聞」1938(昭和13)年9月19日

神西7

書き出し

飜訳について何か書けということだが、僕の飜訳は専門ではなくて物好きの方らしいから、別にとり立てて主義主張のあるわけでもない。ただ近ごろはやりの単色版的飜訳ということでちょっと感じたことがあるので、それでも書いて見よう。単色版的飜訳というのは、いうまでもなく野上豊一郎氏の提唱にかかるもので、「原物の意味だけを理知的に伝える」ことだけで満足しようとする、いわば合理主義的な行き方の名称である。ところでこ

1 / 0