青空文庫

「X氏の手帳」の感想

X氏の手帳

エックスしのてちょう

初出:「1929 第二十一号」1929(昭和4)年11月1日

辰雄5

書き出し

或る夜、或る酒場から一人の青年がふらふらしながら出て來た。彼は非常に泥醉してゐるやうに見えた。タクシイ!と彼は聲高に叫んだ。一臺の汚らしいタクシイが止つた。彼はふらふらしながらそれへ乘つた。車はがたがた走り出した。それをちやうど巡※中の巡査がやや離れた所から見てゐたのであつた。車が走り去つてしまふと、その跡に手帳のやうなものが落ちてゐるのを巡査は認めた。青年が落して行つたものらしかつた。そこまで歩

2018/08/14

いちにいさんの感想

手帳は他人の為に書くものでないから、他人に読まれたら持主はどうなってしまうのか? ましてや、その読者が警察官だったとしたら!犯罪者でも無いのに、犯罪者になってしまった感覚だろう。 手帳を拾った警察官は職業的推理力から落とし主は狂人と断定している。 およそ、人間の内面には尋常ではない心の葛藤があるものだ。手帳は持主の分身である。 もし、持主がわざと落としたとすれば、カウンセラーに拾われるべきである。

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