青空文庫

「生者と死者」の感想

生者と死者

せいじゃとししゃ

初出:閑古鳥「新女苑 第一巻九号」1937(昭和12)年9月号

辰雄32

書き出し

閑古鳥或る夏、一つのさるすべりの木が私を魅してゐた。ホテルの二階の窓から、私は最初その木を認めた。其處からは、丁度物置かなんぞらしい板屋根ごしにその梢だけが少し見えてゐたので、私はそれをホテルの木だとばかり思つて、ときどき何といふこともなしにそれへ空虚な目をやつてゐただけだつた。……或る日、ホテルの裏の水車の道の方へ散歩に行つて歸つてきた私はいつものやうに裏木戸から這入らうとすると、その日はどうし

2021/01/30

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