青空文庫

「「東京恋慕帖」自序」の感想

「東京恋慕帖」自序

「とうきょうれんぼちょう」じじょ

正岡2

書き出し

おもへば大空襲に先立つ年余、日に/\荒蕪し行く東京都ではあつたが、郷土故の愛情はまた格別で、いまのうちに私の全作品の心臓をなしてゐるこの東京のおもひでをかき付けておかうとおもひ立ちどうやら「東京伝統美」と題し「わが日和下駄」と傍書した三百枚ちかい作品ができ上がつた。しかし当時最早私のごとき戦争非共力者の著書は不急不要の悪本として厳禁されてゐたので到底開版す可くもなかつた。さうかうするうち醜く汚れつ

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