青空文庫

「巣鴨菊」の感想

巣鴨菊

すがもぎく

正岡14

書き出し

昭和廿年花季の戦火に巣鴨花街の僑居を焼かれてから早や二年有余の歳月がながれ去つた。大正大震以後、俄に隆昌しだしたこの新興色町は漸く町並に一種の情趣を生じて来たところで惜しくも焼亡してしまつたのである。何より町中のおもひもかけないところ/″\に桜欅その他の大樹の聳え立ち武蔵野の日の名残りを示してゐることが頗る私を喜ばせたが、戦後のその町はところ/″\に急造の旗亭が間を隔てゝ建てられてゐる許りで、他は

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