たびやくしゃのつまより
初出:「文学界」1934(昭和9)年8月号
書き出し
暑い暑い言うたのも束の間にてもはや秋風たちはじめ、この頃では朝夕膚さむいようになりましたが、まことに久しくおたよりも致さず、あね様はじめ小さい菊ちゃんにもお変りもあらせられませんか。おうかがい申上げます。思えばいまだ暑い盛り、油津よりおたよりいたせし以来今日まで何らの音信もいたしませず、さだめし、いずこいかなるところをさまよい居るかと雨につけ風につけお噂にのぼりお心なやませし御事と今更のように相す…
19双之川喜41さんの感想
美男子の 旅芸人の 妻からの 無心の手紙であるけど 夫が男妾に なってしまい 許してくれと 仰山な格好で泣き崩れるのに 妻は 芝居は家では沢山だと 啖呵を切る あたりが 何とも面白いと感じた。