青空文庫

「喇嘛の行衛」の感想

喇嘛の行衛

ラマのゆくえ

初出:「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年8月

国枝史郎27

書き出し

一拉薩の街は賑かであった。勿論それは毎日毎日観飽きている賑かさには相違ないが、しかし同時に其賑かさは新来の旅行客を喜ばすに足る大変珍奇い賑かさでもあった。市の真中に山のように喇嘛の宮殿が聳えている。瑪瑙と玻璃と大理石とで築き上げられた大宮殿は朝陽夕陽に色を変えて西蔵国民ばかりでなく原始仏教の信仰者——トルキスタン人や錫蘭島人やボハラ人や暹羅人やキルギド人達の信者に依って極楽浄土の象徴かのように崇め

1 / 0