青空文庫

「遺書の一部より」の感想

遺書の一部より

いしょのいちぶより

初出:「青鞜 第四巻第九号」1914(大正3)年10月1日

伊藤野枝10

書き出し

もう二ヶ月待てばあなたは帰つて来る。もう会えるのだと思つても私はその二ヶ月をどうしても待てない。私の力で及ぶ事ならばすぐにも呼びよせたい。行つて会ひたい。けれども、もう廿二年の間、私は何一つとして私の思つた通りになつたことは一つもない。私の短かい二十三年の生涯に一度として期待が満足に果たされたことはない。それは本当にふしぎな程です。私は何時だつてだから諦めてばかりゐます。またあきらめなければなりま

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