青空文庫

「水に沈むロメオとユリヤ」の感想

水に沈むロメオとユリヤ

みずにしずむロメオとユリヤ

初出:「文学」1930(昭和5)年3月

神西17

書き出し

弗羅曼の娘、近つ代の栄えのひとつ、弗羅曼の昔ながらに仇気ない……(オノレ・ド・バルザック)黄昏の街が懶く横たはつたまま、そつと伸びあがつて自分の溝渠に水鏡した。——この様な句を読むとすると、嘗てロデンバックの短篇集を繙いたことのある人ならきつとあの廃都ブリュジュの夕暮を思ひ描くに相違ない。そして彼等は聴くであらう、同時に近くから遠くから涌き起る洞ろな鐘のひびきを、続いて無数の黄ばんだ祈りの声を。の

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