百姓マレイ
ひゃくしょうマレイ
書き出し
そのとき、わたしは、まだやっと九つでした……いやそれよりも、わたしが二十九の年のことから話を始めたほうがいいかもしれません。それは、キリスト復活祭の二日めのことです。もう陽気も暖かで、空はまっさおに晴れわたり、太陽は高いところから、ぽかぽかと暖かな光りをきらめかせていましたが、わたしの心は、まっ暗でした。わたしは牢屋のうらをぶらぶら歩きながら、がっしりした監獄の杭を一本一本かんじょうしながらながめ…
19双之川喜41さんの感想
復活祭なので 刑務所の なかでも 飲酒が 大目に見られた。あげくに 喧嘩が 繰り広げられて 普段にもまして 雑然とした 雑居房のなかの 自分の寝台に 横になったとき 数十年前に まだ 男が 九歳だったころ 狼が出たという声が 聞こえたような 気がして 駆け出して 百姓マレイに 助けを 求めたことを 思い出して しまった。人は 誰でも なんの 脈絡もなく 突然 記憶が よみがえる経験は 持っている。白樺よりも 胡桃の 鞭が良いなどの 記述があり 詩情溢れた 文章と 想った。
ba5194e78df6さんの感想
心和む。出会
mihlhfsrさんの感想
マレイの暖かさが、よく描かれています。その記憶を、底の境遇のなかで思い出す主人公。何が大切なのかを、自然とおもわされました。
8e46b5bc1c6aさんの感想
読みやすかったです。ラストが美しい。
c9e5a19acef3さんの感想
幼少期の優しい思い出と騒がしい刑務所のギャップがドストエフスキーらしいと感じました。
2e81004fca66さんの感想
些細な出来事でも、知らず知らずのうちに心に引っかかることがある、ということか。
0c057a6b1954さんの感想
並みの小説ならマレイのことを『学のない田舎者らしい云々』とかこき下ろしそうなもんだけど、この泥臭い優しさや人間愛に対する愛情がドフト先生の作品に生々しいまでの体温を感じさせるんだろうなぁ。