おにたいじ
初出:「赤い鳥」赤い鳥社、1925(大正14)年7月
書き出し
一頭は少々馬鹿でも、腕っぷしさえ強ければ人の頭に立っていばっていられるような昔の時代であった。常陸の八溝山という高い山の麓の村に勘太郎という男がいた。今年十八歳であったが、頭が非常によくって、寺子屋で教わる読み書きそろばんはいつも一番であった。何を考えても何をしても人よりずばぬけていた。しかしその時代にいちばん必要な腕っぷしの力がなかった。体は小さく腕や脚はひょろひょろしていて、自分より五つも六つ…