みずのへんろ
初出:「釣りの本」改造社、1938(昭和13)年
書き出し
それからというもの、私は暇さえあれば諸国を釣り歩いた。渓流、平野の川、海、湖水。どこであろうと、嫌うところなく釣りを楽しんだ。故郷上州の水は、殊に親しみ深い。我が家の近くを、奥深い上越国境大利根岳から流れ出て、岩を削って迸り、関東平野を帯のように百里あまりも悠々と旅してゆく利根川のことはここに説明するまでもない。片品川、赤谷川、湯桧曽川、谷川、宝川、楢俣川、薄根川、大尻川、根利沢、砂沢、南雲沢、吾…