青空文庫

「香魚と水質」の感想

香魚と水質

こうぎょとすいしつ

初出:「釣りの本」改造社、1938(昭和13)年

佐藤垢石10

書き出し

食事が、必要から好厭に分かれ、さらに趣味にまで進んできたのは、既に五千年の昔であるのを古代支那人が料理書に記している。必要と好厭は、動物の世界にある共通の事実だが食品を耽味するという道楽は、人間ばかりが持っている奢りらしい。新秋の爽涼、肌を慰むるこの頃、俄に耽味の奢りが、舌端によみがえりきたるを覚える。けだし古来、生は食にあるか性にあるか、と論ぜられるけれど、性食渾然としたところに人生があるのでは

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