青空文庫

「「歌念仏」を読みて」の感想

「歌念仏」を読みて

「うたねんぶつ」をよみて

初出:「女學雜誌 三二一號」女學雜誌社、1892(明治25)年6月18日

北村透谷13

書き出し

巣林子の世話戯曲十中の八九は主人公を遊廓内に取れり、其清潔なる境地より取り来りたる者は甚だ少数なる中に「お夏清十郎歌念仏」は傑作として知られたり。余は「歌念仏」を愛読するの余、其女主人公に就きて感じたるところを有の儘に筆にせんとするのみ。若し巣林子著作の細評を聴かんとする者あらば、逍遙先生又は篁村翁が許へ行かるべし、余豈巣林子を評すと言はんや。中の巻の発端に「かゝる親には似ぬ娘、お夏は深き濡ゆゑに

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