青空文庫

「夜釣」の感想

夜釣

よづり

初出:「新小説」春陽堂、1911(明治44)年

鏡花8

書き出し

これは、大工、大勝のおかみさんから聞いた話である。牛込築土前の、此の大勝棟梁のうちへ出入りをする、一寸使へる、岩次と云つて、女房持、小児の二人あるのが居た。飲む、買ふ、摶つ、道楽は少もないが、たゞ性来の釣好きであつた。またそれだけに釣がうまい。素人にはむづかしいといふ、鰻釣の糸捌きは中でも得意で、一晩出掛けると、湿地で蚯蚓を穿るほど一かゞりにあげて来る。「棟梁、二百目が三ぼんだ。」大勝の台所口への

2025/07/09

艚埜臚羇1941さんの感想

  山東京伝は 構想を 思いつくと 夜でも 起き出して 机に 向かって 書き出した。便所に行く時間を 惜しんで 脇に 便器を 置いて おいたという。鏡花も 熱中して 創作に 耽ったかは わからないと 感じた。鰻釣りの 名人が 釣りにでかけて 帰って来ない。重しを載せて 蓋をした 桶の中の 鰻と 目が合ったというのだが 読み手は 想像力を 全開できるので いかようにも 創れる。描き方が 読み手に ほうりなげられ 任せられているので 残りは 読み手である あなた次第 となる と感じた。

2020/05/08

dc7ac445de87さんの感想

鰻を釣っていた男が鰻になったのか、と思いました。要所に妖しさを散りばめて、ただの鰻に意味を持たせる幽玄的な技量はさすが鏡花だと思います。

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