青空文庫

「少数と多数」の感想

少数と多数

しょうすうとたすう

伊藤野枝16

書き出し

私は現代の傾向を要約して「量」であると云ひたい。群衆と群集精神とは随所にはびこつて「質」を破壊しつつある。今や私どもの全生活——生産、政治、教育——は全く数と量との上に置かれてゐる。且て自己の作品の完全と質とにプライドを持つてゐた労働者は自己に対しては無価値に一般人類にとつては有害な多額の物品を徒らに産出する無能の自働機械に変つてしまつた。かくして「量」は人生の慰藉と平和とを助くるに反し、唯だ人間

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