青空文庫

「備前天一坊」の感想

備前天一坊

びぜんてんいちぼう

初出:「現代大衆文学全集」平凡社、1928(昭和3)年

江見水蔭35

書き出し

一徳川八代の将軍吉宗の時代(享保十四年)その落胤と名乗って源氏坊天一が出た。世上過ってこれを大岡捌きの中に編入しているのは、素より取るに足らぬけれど、それよりもズッと前、七十余年も遡って万治三年の頃に備前の太守池田新太郎少将光政の落胤と名乗って、岡山の城下へ乗込んだ浪人の一組があった。この方が落胤騒動としては先口で、云って見れば天一坊の元祖に当る訳。大名の内幕は随分ダラケたもので、侍女下婢に馴染ん

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