青空文庫

「盆踊りと祭屋台と」の感想

盆踊りと祭屋台と

ぼんおどりとまつりやたいと

初出:「大阪朝日新聞 附録」1915(大正4)年8月29日

折口信夫22

書き出し

一盂蘭盆と魂祭りと盆の月夜はやがて近づく。広小路のそゞろ歩きに、草市のはかない情趣を懐しみはするけれど、秋に先だつ東京の盂蘭盆には、虫さへ鳴かない。年に一度開くと言はれた地獄の釜の蓋は一返では済まなくなつた。其に、旧暦が月齢と名を改めてからは、新旧の間を行く在来りの一月送りの常識暦法が、山家・片在所にも用ゐられるやうになつたので、地獄の釜の番人は、真に送迎に遑なきを嘆じてゐるであらう。諺に「盆と節

1 / 0