青空文庫

「狂馬」の感想

狂馬

きょうば

初出:「新青年」博文館、1931(昭和6)年7月号

書き出し

炭坑の坑は二つに区別されている。竪坑。斜坑。——地上から地下へ垂直に、井戸のように通うているのが竪坑で、斜坑は、地上から地下へ、勾配になって這入って行くのだから樹木に掩われた薄暗い坂路を連想させる。斜坑は、動物の通路を第一の目的として掘られたものであろう。炭坑に蒸気機関や電動機の採用されていなかったころ、人間の肩や背の他には、馬が一切の労働力を供給していたのだから。炭坑に機械力が這入って来てから、

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