青空文庫

「三界万霊塔」の感想

三界万霊塔

さんがいばんれいとう

初出:「富士」1949(昭和24)年6月

久生十蘭50

書き出し

一深尾好三はゆたかに陽のさしこむ広縁の籐椅子の中で背を立てた。「ひさしぶりに会社へ出てみるか」油雑布で拭きあげたモザイックの床と革張の回転椅子と大きな事務机が眼にうかんだ。押せば信号が返ってくるパイロット式の呼鈴。手擦れのした黒檀の葉巻箱。とりわけ濠洲以来の古い九谷の湯呑……それらは二十年来の事業の伴侶であり、活動の心棒になる親しい小道具どもだった。深尾は丸ノ内仲之通の古めかしい赤煉瓦の建物の中に

2019/10/24

19双之川喜41さんの感想

 豪州の真珠採り事業で  海中の ダイバーを 数人 虐殺してまで 蓄財に励んだ男が  突然訪ねてきた豪州人を  殺人の 証人と思い込み 当惑し狼狽するという筋である。 真珠貝の種類やメルボルンの街並みが 克明に記されている。

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