青空文庫

「豊竹呂昇」の感想

豊竹呂昇

とよたけろしょう

初出:「婦人画報」1919(大正8)年3月

書き出し

私は今朝の目覚めに戸の透間からさす朝の光りを眺めて、早く鶯が夢をゆすりに訪れて来てくれるようになればよいと春暁の心地よさを思った。如月は名ばかりで霜柱は心まで氷らせるように土をもちあげ、軒端に釣った栗山桶からは冷たそうな氷柱がさがっている。崖の篠笹にからむ草の赤い実をあさりながら小禽は囀っている。寒明けの日和はおだやかで、老人たちが恋しがるばかりではない日の光りはのどかだ。(ほんとに早く鶯の声を聴

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