青空文庫

「「伽羅枕」及び「新葉末集」」の感想

「伽羅枕」及び「新葉末集」

「きゃらまくら」および「しんはずえしゅう」

初出:「女學雜誌 三〇八號~三〇九號」女學雜誌社、1892(明治25)年3月12日、19日

北村透谷13

書き出し

一は実を主とし、一は想を旨とする紅葉と露伴。一は客観的実相を尚び、一は主観的心想を重んずる当代の両名家。紅葉は「伽羅枕」を、露伴は「辻浄瑠璃」を、時を同うして作り出たり。此二書に就き世評既に定まれるにも拘らず、余は聊余が読来り読去る間に念頭に浮びし感を記する事となしぬ。余は二作を読み了りける後、奇しくも実想相分るゝ二大家の作に同致の跡瞭然見る可き者あるを認めぬ。従来の諸作は分明に紅葉をして細微なる

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