あたらしきこえ
初出:「文章世界 〈文話詩話〉號」1907(明治40)年10月
書き出し
(一)同時代に生れ出た詩集の、一は盛へ他は忘れ去られた。「若菜集」と「抒情詩」。「若菜集」は忽ちにして版を重ねたが、「抒情詩」は花の如く開いて音もなく落ちて了つた。島崎氏の「若菜集」がいかに若々しい姿のうちに烈しい情※をこめてゐたかは、今更ここに言ふを須ゐないことではあるが、その撓み易き句法、素直に自由な格調、從つてこれは今迄に類のなかつた新聲である。予がはじめて「若菜集」を手にしたをりの感情は言…