青空文庫

「照葉狂言」の感想

照葉狂言

てりはきょうげん

鏡花151

書き出し

鞠唄仙冠者野衾狂言夜の辻仮小屋井筒重井筒峰の堂鞠唄一二坪に足らぬ市中の日蔭の庭に、よくもこう生い立ちしな、一本の青楓、塀の内に年経たり。さるも老木の春寒しとや、枝も幹もただ日南に向いて、戸の外にばかり茂りたれば、広からざる小路の中を横ぎりて、枝さきは伸びて、やがて対向なる、二階家の窓に達かんとす。その窓に時々姿を見せて、われに笑顔向けたまうは、うつくしき姉上なり。朝な夕な、琴弾きたまうが、われ物心

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