青空文庫

「罪と罰(内田不知庵訳)」の感想

罪と罰(内田不知庵訳)

つみとばつ(うちだふちあんやく)

初出:「女學雜誌」1892(明治25)年12月17日

北村透谷12

書き出し

沈痛、悲慘、幽悽なる心理的小説「罪と罰」は彼の奇怪なる一大巨人(露西亞)の暗黒なる社界の側面を暴露して餘すところなしと言ふべし。トルストイ、ツルゲネーフ等の名は吾人久しく之を聞けども、ドストイヱフスキーの名と著書に至りては吾文界に之を紹介するの功不知庵に多しと言はざる可からず。露國は政治上に立て世界に雄視すと雖もその版圖の彊大にして軍備の充實せる丈《だけ

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