青空文庫

「狐の渡」の感想

狐の渡

きつねのわたし

書き出し

むかし、一人の旅人が、科野の国に旅して、野路を踏みたがへ、犀川べりへ出ました。むかうへ渡りたいと思ひましたが、あたりに橋もなし、渡も見えず、困つてをりますと、「もうし、旅のお人。」といふ声がします。見ると、いつどこからとも知らず、一人のうつくしい顔した子どもが舟をこぎよせてゐるのでした。「渡しのコン助といふものだが渡しの御用はないかな。」といひますので、「御用は大有りだ。早くわたしてくれ。」と旅人

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