青空文庫

「大菩薩峠」の感想

大菩薩峠

だいぼさつとうげ

26 めいろの巻

26 めいろのまき

中里介山450

書き出し

一信濃の国、白骨の温泉——これをハッコツと読ませたのは、いつの頃、誰にはじまったものか知らん。先年、大菩薩峠の著者が、白骨温泉に遊んだ時、机竜之助のような業縁もなく、お雪ちゃんのようにかしずいてくれる人もない御当人は、独去独来の道を一本の金剛杖に託して、飄然として一夜を白槽の湯に明かし、その翌日は乗鞍を越えて飛騨へ出ようとして、草鞋のひもを結びながら宿の亭主に問うて言うことには、「いったい、この白

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