青空文庫

「巴里素描」の感想

巴里素描

パリそびょう

初出:「新小説 第二十九年第十一号」1924(大正13)年11月1日

書き出し

ヴォルテエル河岸霧雨。——外套の襟を立てる。——いくら……これ?——ラ・ハルプの文学史……六十法。——さよなら。小蒸気の笛。——危ない、滑りますよ、奥さん。サン・ミシェル街新調のズボンが短か過ぎる。(また、一人で飯を食ふのか)——おい、どうした。——うるさい。マロニエの若葉の匂ひ。ルュクサンブウル公園朝から噴水を見てゐる。玩具のヨットが波を切る。母親の若い日傘が眩しい。(昨日の希望……明日の憶ひ出

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