青空文庫

「『桜の園』の思ひ出と印象」の感想

『桜の園』の思ひ出と印象

『さくらのその』のおもひでといんしょう

初出:「演劇新潮 第一年第六号」1924(大正13)年6月1日

書き出し

『桜の園』の思ひ出と印象岸田國士○一九二二年の暮れ、モスコオ芸術座の一行が初めて巴里を訪れ、シャン・ゼリゼエ劇場の大舞台で、その華々しい上演目録の中から、特に純露西亜の作品数篇を選んで、旅興行の蓋をあけた。○『桜の園』はその一つであつた。○僕は露西亜語がわからない。そこで、仏訳の『桜の園』を三度繰り返して読んだ。どの人物が、どこで、どんな台詞をいふといふことまでおほかた空で覚えた。殊に、全篇を流れ

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