青空文庫

「懐かし味気なし」の感想

懐かし味気なし

なつかしあじきなし

五年振で見る故国の芝居

ごねんぶりでみるここくのしばい

初出:「読売新聞」1924(大正13)年3月21日、23日

書き出し

本郷座の夜の部を見て何か言へといふ注文なのですが、私はまだ厳密な意味で、他人の作品を批評し得る自信はありません。云ふまでもなく、新しい本郷座の舞台で谷崎、菊池両氏の新作が左団次一派の俳優によつて上演されると云ふ事実は、私の好奇心を惹くに充分でした、実は、昨年の夏日本に帰つて以来、まだ一度も、芝居小屋の木戸を潜らなかつたのです。巴里で過ごした三年あまりは、殆ど毎日、役者の顔を見てゐたのに、なぜ、日本

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