青空文庫

「次郎物語」の感想

次郎物語

じろうものがたり

03 第三部

03 だいさんぶ

下村湖人297

書き出し

一運命の波次郎の中学一年の生活も、二学期が過ぎて、新しい春がめぐって来た。入学試験に一度つまずいた彼は、もうそろそろ青年期に入ろうとしているのである。青年期になると、たいていの人が、程度の差こそあれ、理想と現実との板ばさみになって、光明か暗黒かの岐路に立つものだが、読者が、これまで、いくぶんせっかちだと思われるほどの気持になって知りたがっていたのも、恐らく彼のそうした生活であったらしく私には思われ

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