青空文庫

「開運の鼓」の感想

開運の鼓

かいうんのつづみ

初出:「サンデー毎日」1924(大正13)年1月1日

国枝史郎15

書き出し

一将軍家斉の時代であった。天保の初年から天候が不順で旱天と洪水とが交※襲い夏寒く冬暑く日本全国の田や畑には実らない作物が枯れ腐って凶年の相を現わしたが、俄然大飢饉が見舞って来た。将軍家お膝元大江戸でさえ餓※道に横たわり死骸から発する腥い匂いが空を立ち籠めるというありさまであった。上野広小路に救い小屋を設けて、幕府では貧民を救助した。また浅草の米蔵を開いて籾を窮民に頒ったりした。しかしもちろんこんな

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