青空文庫

「小むすめ」の感想

小むすめ

こむすめ

初出:「女学雑誌」1894(明治27)年1月6日

清水紫琴13

書き出し

氷の塊かとも見ゆる冬の月は、キラキラとした凄しい顔を大空に見せてはをれど、人は皆夜寒に怖ぢてや、各家戸を閉ぢたれば、まだ宵ながら四辺寂として音もなし。さなきだに陰気なる家の、物淋しさはいや増しぬ。二分じんのランプ影暗く、障子の塵、畳の破れも、眼に立ちては見えねど、病みたる父の、肉落ち骨立ちてさながら、現世の人とも思はれぬが、薄き蒲団に包まれて、壁に向ひ臥したる後姿のみは、ありありとして少女の胸を打

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