青空文庫

「帝銀事件を論ず」の感想

帝銀事件を論ず

ていぎんじけんをろんず

初出:「中央公論 第六三年第三号」1948(昭和23)年3月1日

坂口安吾18

書き出し

帝銀事件はとくに智能犯というほどのものではないようだ。この犯人から特別つよく感じさせられるのはむしろ戦争の匂いである。私は、外地の戦場は知らないのだが、私の住む町が一望の焼け野となり、その二カ月ほど後に再び空襲を受けて、あるアパートの防空壕へ五〇キロの焼夷弾が落ちた。中に七人の屈強な壮年工がはいっていて爆死したが、爆死といっても、爆発力はないのだし、ただ衝撃で死んだだけで、焼けてもおらず、生きたま

2021/08/20

ハルチロさんの感想

坂口安吾氏らしい切り口、物の見方であると思います。『帝銀事件』を論じながら、当時の世相、政治、人々の心理状態を作者の独断的視点で論じているのが面白いです。帝銀事件については、終戦後の重大犯罪として小説やドラマでも再現されていますが、本作品中で論じられた作者の見方が、案外的を射ているかもしてません。

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