青空文庫

「ジャン・クリストフ」の感想

ジャン・クリストフ

ジャン・クリストフ

05 第三巻 青年

05 だいさんかん せいねん

初出:JEAN CHRISTOPHE

書き出し

一オイレル家家は沈黙のうちに沈んでいた。父の死去以来すべてが死んでるかと思われた。メルキオルの騒々しい声が消えてしまった今では、朝から晩まで聞こえるものはただ、河の退屈な囁きばかりであった。クリストフは執拗に仕事のうちに没頭していた。幸福になろうとしたことをみずから罰しながら、黙然として憤っていた。哀悼の言葉にもやさしい言葉にも返辞をしないで、傲然と構え込んでいた。日々の業務に専心し、冷やかな注意

1 / 0