青空文庫

「愚かな一日」の感想

愚かな一日

おろかないちにち

初出:「太陽」1920(大正9)年1月

書き出し

瀬川が来ているのだなと夢現のうちに考えていると、何かの調子に彼はふいと眼が覚めた。と同時に隣室の話声が止んだ。彼は大きく開いた眼で天井をぐるりと見廻した。それからまた、懶い重みを眼瞼に感じて、自然に眼を閉じると、また話声が聞えてきた。やはり妻と瀬川との声だった。彼はその方へ耳を傾けた。「……どうして取るのでございましょう?」「さあ私も委しいことは聞きませんでしたが、医者に御相談なすったら分るでしょ

1 / 0