青空文庫

「まぼろし」の感想

まぼろし

まぼろし

初出:「国民之友」1898(明治31)年5月

書き出し

絶望文造は約束どおり、その晩は訪問しないで、次の日の昼時分まで待った。そして彼女を訪ねた。懇親の間柄とて案内もなく客間に通って見ると綾子と春子とがいるばかりであった。文造はこの二人の頭をさすって、姉さんの病気は少しは快くなったかと問い、いま会うことができようかと聞いて見た。『姉さんはおっかさんとどこかへ出ましたよ』と綾子は答えた。『なんて!出ましたッて!』と言った文造の心は何となく穏やかでなかった

2022/03/15

19双之川喜41さんの感想

 縁切りの手紙が 女から 届いてしまう。 御維新 という激動の時代を  巧く立ち回れず 鬱屈(うっくつ)した心情の 男が訪れる。 共に 過去に起きたことではあるけど 夢のようでもあると感じた。

2018/10/10

いちにいさんの感想

文造と梅子は何故別れなければならなかったのか? 理由が重要なのではなく、結果が全てと言うことか! 読者には皆目検討がつかない。 梅子は病に犯されたような記述がヒントなのか?獣が死期を察知し身を隠すように梅子は自ら文造の前から姿を消したかのか? タイトルに「まぼろし」とあるように最初から梅子という女性はこの世に存在しなかったと考えた方が無難だ。 男は幾ら命があっても、恋に破れたら、その命、足りない。

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