青空文庫

「貝殻追放」の感想

貝殻追放

かいがらついほう

012 向不見の強味

012 むこうみずのつよみ

初出:「三田文學」1918(大正7)年10月号、11月号

書き出し

たださへ夏は氣短になり勝なのに全身麻醉をかけられて、外科手術をした後の不愉快な心持は、病院を出てから一週間にもなるのに、未だに執念深く殘つて居る。甚だ汚ならしい話だが、疾患は痔瘻なので、病院へ通ふのに、乘物に腰掛けて搖られるのが苦痛で、何時も電車の釣革につかまつて立つて居るのであるから、芝の端から築地迄小一時間もかかる道中は、たとへ囘復期にありとはいへ、衰弱した身體には隨分堪へるのである。病院で患

1 / 0