青空文庫

「繻珍のズボン」の感想

繻珍のズボン

しゅちんのズボン

初出:「政界往来」1940(昭和15)年3月号

家族不和懐古歴史的背景自己認識内省的回顧的鬱屈

書き出し

父かたの祖母も母かたの祖母も八十を越えるまで存命だったので、どちらも私の思い出のなかにくっきりとした声や姿や心持ちを刻みのこしているが、祖父となると両方とも大変早く没している。父かたの祖父は私が生れた時分、もう半身の自由がきかなくなっていて、床の上に坐ったまま初孫である赤坊の私を抱いて、おなごの子でも可愛いものだなあ、と云ったそうだ。二つ三つの時分、そうやってだかれていて、小さい孫はおしっこがした

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