青空文庫

「犬三態」の感想

犬三態

いぬさんたい

初出:「都新聞」1939(昭和14)年10月30、31日、11月1日号

孤絶歴史的人物の描写自己認識内省的憂鬱静謐

書き出し

景清この夏、弟の家へ遊びに行って、甃のようになっているところの籐椅子で涼もうとしていたら、細竹が繁り放題な庭の隅から、大きな茶色の犬が一匹首から荒繩の切れっぱしをたらしてそれを地べたへ引ずりながら、のそり、のそりと出て来た。ひどく人間を警戒していて、眼と体のあらゆる感覚を集めてあたりの空気に触れてみてから、脚をのそり、のそり運ばせて来る、そんな工合でだんだん此方へ近づいて来た。甃のところまで来ると

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