青空文庫

「母となる」の感想

母となる

ははとなる

福田英子12
回顧的孤絶家族不和文壇交友内省的鬱屈

書き出し

一姙娠是より先き妾の尚ほ郷地に滞在せし時、葉石との関係につき他より正式の申込あり、葉石よりも直接に旧情を温めたき旨申来るなど、心も心ならざるより、東京なる重井に柬して其承諾を受け、父母にも告げて再び上京の途に就きしは廿二年七月下旬なり。此頃より妾の容体尋常ならず、日を経るに従ひ胸悪く頻りに嘔吐を催しければ、扨はと心に悟る所あり、出京後重井に打明て、郷里なる両親に謀らんとせしに彼は許さず、暫らく秘し

1 / 0