青空文庫

「火葬国風景」の感想

火葬国風景

かそうこくふうけい

初出:「帝都日日新聞」1935(昭和10)年

海野十三48
下町風土創作背景奇人描写探偵小説回顧的怪奇軽妙

書き出し

甲野八十助「はアて、——」と探偵小説家の甲野八十助は、夜店の人混みの中で、不審のかぶりを振った。実は、この甲野八十助は探偵小説家に籍を置いてはいるものの、一向に栄えない万年新進作家だった。およそ小説を書くにはタネが要った。殊に探偵小説と来ては、タネなしに書けるものではなかった。ところで彼は或る雑誌社から一つの仕事を頼まれているのであるが、彼の貧弱な頭脳の中には、当時タネらしいものが一つも在庫してい

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