青空文庫

「女子文壇の人々」の感想

女子文壇の人々

じょしぶんだんのひとびと

作家の日常喪失と記憶回顧的文壇交友叙情的懐古静謐

書き出し

河井醉茗の五十年の祝をした時、私は上野から精養軒へ眞直に行つたので、誰もまだ來てゐなかつた。上つたんだか、下りたんだか忘れたが、左に庭を見て長い廊下を行くあたりで、向うから山田邦子さんが歩いて來るのに會つた。いきなり手を出して私をいたはるやうにして、よく出て入らしたと喜んでくれた。十六年ぶりの邂逅である。足が惡いと聞いてゐたが、歩くところを見ると疾い。瞳はむかしながらに澄んでたけれど、掌は私の方が

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