みえざるてき
書き出し
上海四馬路の夜霧は濃い。黄いろい街灯の下をゴソゴソ匍うように歩いている二人連の人影があった。「——うむ、首領この家ですぜ。丁度七つ目の地下窓にあたりまさあ」と、斜めに深い頬傷のあるガッチリした男が、首領の袖をひっぱった。「よし。じゃ入れ、ぬかるなよワーニャ」と、首領と呼ばれた眼玉が魚のように大きい男は、懐中からマスクを出して、目にかけた。合図の数だけ入口を叩くと、重い木製の扉が静かに内に開いた。前…
放送された遺言
人魚の祠
劉海石