青空文庫

「もう少しの親切を」の感想

もう少しの親切を

もうすこしのしんせつを

初出:「白揚」1936(昭和11)年9月号

家族不和恋愛観の相対化政治的葛藤文学不信分析的厳粛鬱屈

書き出し

近頃、またひとしきり恋愛論が盛になって来ている。どの雑誌にもそういうような論文や座談会の話が出ている。そして、この雑誌も、数頁をそれのために費そうとしているのであるが、私の心には、率直に云って一つの疑いが、此等囂々たる恋愛論に対して生じているのである。最近数年間の社会の事情は急速にうつりつつある。現代人の全生活は日夜それらの波に中心を揺られ、或はその縁を洗われ、いずれにせよ強く動かされている。しか

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