青空文庫

「作品と生活のこと」の感想

作品と生活のこと

さくひんとせいかつのこと

初出:「新日本文学」第8号、1947(昭和22)年7月

創作背景文学不信芸術論分析的厳粛

書き出し

あるところで、トーマス・マンの研究をしている人にあった。そのとき、マンの作品の或るものは、実に観念的で、わかりにくくて始末がわるいものだけれども、一貫して、マンの作家としての態度に感服しているところがある。それは、トーマス・マンはマンなりに、自分の問題を自分のそとにとり出して作品としての客観的存在を与え、それを真剣に追究して行って、作品の世界で到達した点まで自分の生活を押し出し、そこから次の生活を

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