「建設の明暗」の印象
「けんせつのめいあん」のいんしょう
初出:「帝国大学新聞」1940(昭和15)年1月15日号
宮本百合子約5分
下層階級の描写女性の内面文学批評芸術家描写分析的叙情的
書き出し
新築地の「建設の明暗」はきっと誰にとっても終りまですらりと観られた芝居であったろうと思う。廃れてゆく南部鉄瓶工の名人肌の親方新耕堂久作が、古風な職人気質の愛着と意地とをこれまで自分の命をうちこんで来た鉄瓶作りに傾けて、鉄の配給統制で材料もなくなり日々の生活に窮しつつ猶組合の工場へ入って一人の労働者として働くことを肯じがたい心持の失望と苦悩、そういう久作の昔気質の職人肌なものの考えかたは女房友代への…
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